2024年 “UP DATE”

2022

2022年に独立し、常に業界の最前線の情報を仕入れ、サービスへ取り入れてきた。

2022年はお客様に大きく影響がある進化を遂げることは出来なかったが、マンツーマン接客で今までと同じクオリティでサービスを提供する為の技術見直しを全面的に行った。
それ以前のアシスタントが常にいる状態での営業とは業務プロセスが全く異なるからだ。

例えば、薬剤を塗るスピードは、一人と二人では当然ながら異なる。そのため、薬剤塗布のプロセスや選定の見直しが、最初の課題となった。

2023

2023年は酸性ストレートとヘアカラーのアップデートをはかる。
酸性ストレートのアップデート情報は以前に記事にしているのでこちらから確認して頂きたい。

ヘアカラーのアップデートした点についてしっかりと情報を発信していなかったので、改めてここで解説させて頂きたい。

ヘアカラーのアップデート


大きく変化した事は3つある。

①薬剤のアルカリ量のコントロール
前職時代にメインで使用していた薬剤は“酸性カラー”と言うジャンルの薬剤を使用してきた。一般的に髪の毛へのダメージの原因物質として”アルカリ”と言う物質が挙げられる為それを使用しない薬剤を推奨し使用してきたのである。

独立して間もなく、私の中で一つの課題があった。

『カラーの色素残留』

一般の方には聞き慣れない言葉では無いだろうか、どう言うことかと言うと。
カラーリングを繰り返し行う事で中間〜毛先の方がくすんで暗く染まってしまう現象がある。
全ての方に起きるわけでは無いのだが、過去の施術内容や日々のホームケアによってそのような状態になってしまう可能性があるのだ。

今現在、そのような現象が起きることはほとんど無くなった。原因は良かれと思って使用していた”酸性カラー”にあったのだ。
このように、物事にはメリット/デメリットがあり、良いことばかりに視点を配り過ぎて、マイナスの要素が見えていなかったのである。
この事例で言うと酸性カラーはダメージが少なく、退色が少ない事が特徴となる。しかし、退色しない分、色素の残留/色相の混合による透明感の低下がデメリットとしてあるのだ。

『低ダメージで退色が美しく、透明感のあるヘアカラーはどうしたら実現可能か?』

そこで考えたのが、アルカリ量のコントロールと添加剤の使用です。
あまり細かなテクニックには言及しませんが、目的の色に最低限の力で優しく染め、ダメージ補修効果のあるトリートメントをカラー剤にプラスする事で課題の解決に成功しました。

②脱白髪染めと言う新ジャンルへのチャレンジ

私はこれまで『お客様の美容の悩みを解決し、歳を重ねる程に美しく人生を楽しんでいただく事をお手伝いしたい』そんな思いの中日々研究やサービスの向上を目指してやって来た。
悩みの多くは ”ダメージ” ”癖” ”白髪” などである。
そんな中、2022〜2023年は美容業界のトレンドに『脱白髪染め』と言う新ジャンルが台頭して来たのだ。

さて、『脱白髪染め』とはどのような概念か?

これまでの”白髪”へのアプローチ方法は基本的に『白髪を染める』と言う考え方が基本にありました。
白髪をしっかりと染める事で若々しさを保つと言う方針です。

『脱白髪染め』では白髪はしっかりと染めずに”活かす”と言う考え方が基本となる。
白髪染めをしたことのない人は「なぜ活かす必要があるのか?」と思うのではないだろうか。

白髪を”白髪染め”で染めると次に生えてくる”白髪”との境目がすぐに気になってしまいます。
白髪の生えている部分や量によっては、2〜3週間程度で『キラリ』とした境目が目立つようになる。
この白髪を隠すと言う行為が始まったあたりから、美容室に来ること自体が『大変』『面倒くさい』『いつまで通えばいいのか?』などネガティブな印象になりはじめてしまうのだ。
美容室は本来的には『行くのが楽しみ』『キレイになれる!』『リラックスしたい』などポジティブ要素が多いはずなのに、白髪染めが始まった途端に苦行に変わってしまうのである。

脱白髪染めでは、白髪をダークグレー〜明るめのベージュに染めていく事で、次に生えてくる白髪との馴染みが良く透明感のある染め方になっている。

全ての方に脱白髪染めが良いというわけではないが、次の様な方には是非試して頂きたい。

  • 白髪染めを繰り返し暗くなってしまった髪を明るくしていきたい、透明感が欲しい
  • 白髪の量が多くなってきたので、隠すのではなく年相応のエレガントなスタイルにしていきたい
  • いつかグレイヘアにチャレンジしてみたい

③ブリーチを使ったハイトーンカラー

先述した”脱白髪染め”のテクニックの一つに”白髪ぼかしハイライト”というものがある。
何となくイメージはあるのではないかと思うのだが、”ブリーチ”と聞くだけで
『派手になり過ぎてしまう』
『若い子がやっていそう』
このような印象を持たれる方が多いのはないだろうか?
しかし、一般的に年齢を重ねる程に”明るい髪色が似合うようになる”のではないかと私は思うのである。
年を重ねるごとに刻まれた本当の自分らしさを表現するに当たって、ヘア/メイク/ファッションが派手になるのは当然なのだ。

ブリーチテクニックで新たな発展をした点は、薬剤の粘度や反応スピードをコントロールする事で低ダメージで髪の毛を明るくする事が可能になった。
低ダメージで出来るメリットはエイジングで弱った髪の毛にも対応が可能であるという事である。

これまでブリーチを試したことのない方にこそ、一度体験してほしい。実際、多くのお客様が仕上がりに満足し、笑顔で帰られる姿を見てきた。この技術は、今後さらに広がりを見せるだろう。

2024

さて、2024年はどのような発展があったのか思い返す。

ionトリートメント up date!!

このトリートメントは元々、前職時代に開発に携わった”HIKARIトリートメント”と言う原型がある。
これは2016〜2017年位に完成したと記憶している。

イオンコンプレックスと言う化学反応を利用したトリートメントでそれまでのトリートメントと比べて持続性が高い。

2022年以降は独立し、イオンコンプレックス技術はそのままに、”活性ケラチン”と言う毛髪の内部まで浸透し定着するこれまでになかったトリートメントを追加し、更なるパワーアップを実現したのだ。

2024年からのトリートメントの進化は毛髪自体を強化し熱やダメージから守ってくれる効果がプラスされた。巷では”酸性トリートメント””髪質改善トリートメント”などと言われる場合もある。
この酸性トリートメントは毛髪内部で熱に反応し、髪の毛内部に水分を保持しやすい状態を作り出してくれると言う特徴を持つ。

因みに、この酸性トリートメントの追加以外にも多くの成分において高濃度でより補修力が強いものを採用している。

サロンメニューにある『髪質改善トリートメント』についてはこちらを参考にしていただきたい。

②世界初!ナノパウダーメタル×チタン

2024年下半期〜高強度チタン合金とナノパウダーメタルを特許技術で接合した世界で初めてのハサミをメインシザーとして使い始める。

このハサミは100年以上前から続く伝統的なハサミメーカーで世界のトップデザイナーにも選ばれている。
このメーカーから発売した最新のハサミがこれ

手元のデコボコのデザインは槌目(ツチメ)と言って職人が一つ一つハンマーで作るデザイン

チタン合金は軽くて衝撃を吸収してくれると言う特徴があり、私の長い職人としてのキャリアを支えてくれる最高のパートナーだ。
これまで腱鞘炎に悩まされた経験もあり、切り方や身体の鍛え方など様々な対策をしてきたが初めてこのハサミを使った時は本当に感動した。

脚注:https://www.mizutani-scissors.com/sp_nanopowdermetal

このナノパウダーメタルを使用したハサミでは切れ味が非常によく、髪への負担が少ない。
切れ味の悪いハサミを使用していると、枝毛などの原因にもなるそうだ。

2025

2025年は、技術の革新ではなく、心地よさを追求する年になる。
昨年から少しずつ学びを深めているのは、リラクゼーションという視点である。
美容室が、髪を整えるだけの場ではなく、心まで満たされる場所となるよう、今後も追求していく。

時代の流れが急速に変化し、人々の生活環境も大きく変わり続けている。
特にデジタル化が進む現代において、「健康的」で「美しい」この極めて根源的な身体性こそ、これからの時代に求められる価値ではないだろうか。

我が国では、生涯にうつ病を発症する人が15人に1人いると言われ、世界的には5人に1人が何らかの精神疾患を抱えているとされる。
この事実を踏まえ、美容の役割を改めて考えたい。

私がこれまで培ってきた知識と技術は、髪を美しく整えるためだけではない。
それは、「美容の力」で心を軽くし、毎日を少しでも前向きに生きられるようにするためのものだ。

皆様にとって、美容が少しでも前向きな力になれば嬉しい。

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